税理士試験の合格発表からはや1週間。官報合格された方など、税理士有資格者となった皆様は税理士登録も迷いはじめる頃かと思います。
私も官報合格後、「すぐ独立!」とまでは考えていませんでしたが、税理士登録は早くしたいな、とぼんやり考えていました。
税理士登録のための実務経験について
税理士登録するには、試験に受かる(大学院+試験も含む)だけでなく、2年の実務経験が必要です。
この実務経験は、
とあります。
会計事務所、税理士法人に勤めている場合は問題なく満たせると思います。
また、会計事務所等でなくても、一般企業の経理の経験も実務経験として認められます。
私自身、一般企業の経理の経験で税理士登録しました。
当時は税理士法人に勤務していましたが、勤務期間が2年に満たないうちに税理士登録することになった(というか登録したかった)ので…
追加で必要になる書類
税理士登録には、普通に登録するだけでもたくさんの書類が必要ですが、一般企業の実務経験だと追加で下記の書類が必要になります。
- 職務概要説明書
- 組織図
職務概要説明書
一般企業、特に中小企業では、税務、会計に関する業務のほかに、並行して総務等の他の業務を行っていることもあると思います。
そういった場合には、他の業務を行っている時間は税理士登録に必要な実務経験の時間から除く必要があります。
実務経験に必要な期間は暦通りの「2年」ではなく、対象の業務に従事した時間も加味した「2年分」が必要になるということです。
例えば、
・税務・会計に関する業務を 50%
・その他の業務 50%
という業務割合であれば、「実務経験2年分」を満たすには、倍の4年間が必要になります。
その必要期間を算定するために必要な書類ということです。
書式は自由なので、ネットで検索して、下記のブログを参考に作成しました。
組織図
会社の組織図です。
組織図なんて出すの簡単、かと思いきや、
組織の体系が会社の方針や戦略に結びついていることもあり、社外秘の情報だったりします。
私が勤務していた法人も、「組織図は出せない」ということでした。
しかしそこでめげてはいけません。
事務局に問い合わせて、事情を話したところ、
「(所属していた)経理部が独立した組織であったこと」がわかればOK
ということで、
職務概要説明書にその旨を追記して提出しました。
その他の注意点
源泉徴収票
これも、在職証明の裏付けとして提出する書類ということです。
この源泉徴収票ですが、
1年間まるまる働いた源泉徴収票が3年分あれば安心
と説明を受けました。
大きな企業は、在職証明をもらうときには要注意かも?
実務経験を証明する書類として、在職証明書を提出しなければいけません。
これは、会計事務所等でも、一般企業でも提出しなければいけません。
この在職証明書には、所属部署のほかに職務内容を記載する欄があります。
この職務の内容、「詳細に記載すること」と書かれていますが、これができない場合があるようです。
私が勤めていたのは、当時の従業員数約5000人(日本法人のみ)のいわゆる大企業でした。
在職証明をしてくれる人事部は、退職した従業員が在職時どの部にいたかということはわかりますが、
たくさんいる従業員(外資なので出入りも多い)が、どんな業務をしているかなんて把握できるはずもありません。
私の勤めていた企業も、通常は職務の内容を詳細に記載することはできないそうです。
ですが、私の場合、この在職証明を当時の上司を経由してお願いしていました。
上司ですから、当然私がどんな仕事をしていたかは把握しています。
その方のおかげで、経理部での職務内容を記載いただけました。
この職務内容がどれだけ登録に影響するかはわからないのですが、
一般企業の経理部での実務経験で税理士登録するのは王道ではないので、しっかり書いていただけて安心しました。
(登録時の面談でも詳しく聞かれるかと思っていましたが、特になにも触れられませんでした。)
当時から、彼は理想の上司を絵に描いたような方でしたが、この一件でますます感謝と尊敬を深めました…。
(人事部から信頼されていないとできないことでしょうし。)
ちょっと当時の職場に戻りたい気持ちも湧いてくるくらいです。(笑)
まぁさすがに、富山→東京の通勤はできないので無理ですが…。
色々ありますが、ひとつひとつ確認すれば大丈夫
他にも、在職証明書の証明者の印鑑証明などが必要なのですが、
一般企業、とりわけ大規模な企業ではこれに応じてくれるとは限りません。
(私も取得できませんでしたが、理由を話したら取得できなくても大丈夫でした。ここは、在職証明をするのが企業なのか個人事業主か、等によって対応が変わってくるのかと思います。)
そういった場合には、申請先の税理士会、事務局に相談してみるといいと思います。
税理士登録の申請の各書類は、
税理士に必要な人格(これまでに脱税その他悪いことをしていないか等)と実務経験を満たしているか
を確認することが主たる目的です。
いわれた通りの書類をそろえることは、その目的を達成するための手段です。
目的が達成されれば、手引きに書いてある書類通りでなくても大丈夫なことがあります。
まずは、相談してみることをおすすめします。
(事務局の皆様はとても親切に説明してくださいますし、
そろえられない書類についてはどういったことで代替可能か確認もしてくださいました。)